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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-141


「・・なくてもいい・・。」

(言いつつ、食べたい気持ちもあり。 夏樹は、りんご飴を前に、
真剣な瞳で。 苦悶していた。)

「///ふふふっ。」

(愛しさと切なさが込み上げ、千歳は、涙ぐんだ。)

「ちなみちゃんのあげる〜♪」

(千波が、食べかけのりんご飴を、夏樹に差し出し。 夏樹は、満面の笑みで頷いた。)

「ありがとっ!」

(千歳は、二人を抱きしめた。)

「二人とも。 良い子。 いいこ。」

(記憶の中で、甦る。 母の手の温もり。 温かく、柔らかな香り。
目を閉じて眠る。 現実の夏樹の前に、
それは、今そこにあり、触れるようだった。)

***

「ん・・。」

(まるで、母の手に。 今、頭を撫でられた様な気がした。)

『目を開けたらきっと。 消えてしまう幻だ。』

『僕は、母の手に、撫でられた気がして。 今すぐ目を開け、追いかけたかった。』

***

「良い子と思えば、夏樹は。 頑としてゆずらないところもあったのよ。」



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