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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-145


(夏の日、千歳は、開け放たれた小さな部屋の一室で。
庭先を見つめ。 手紙を書いていた。)

『桜、この前は、素敵な写真をありがとう。

いつか、わたしも可愛い二人を。 あなたに見せたいわ。

あなたと誠司さんの申し出は、とても嬉しかった。』

『でも、もう少し。 わたしたち三人で頑張ってみる。』

(古い家屋に三人と一匹は、つつましく暮らしていた。)

「幾度も引っ越しをして、辿り着いた家だった。」

「依子が、わたしたちを逃がす手配をしてくれた。」

「誠司さんが頼ってくれたという、保護施設の方が。」

「どこかで、守ってくれていた。」

「だから。」

「わたしたちが、ここまで来れた。」

(千歳は、庭先で、ぽんたと遊ぶ子供たちの声に、耳を傾け。
ふと聞こえた足音に、顔を上げた。)

サクッ

「こんにちは。」

(木戸をくぐり、現れたのは誠司だった。)

「誠司さんっ!」



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