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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-149


『叶えられないと、知っていたんだ。』

(夏樹は、記憶の中で、目を閉じ。 胸を焦がした。)

『母は、僕を閉じ込めておきはしなかった。

出来るだけ、外の世界に触れさせようとした。

それが、僕たちの行き場を、狭めていた。』

(FOTが密かに守る中、国の追手から逃れる生活に、
終わりが来た。)

「それは、いつもの朝だった。」

「庭先で、夏樹がぽんたを遊ばせていた。」

(日曜日の朝。 誠司は、桜の手作りプリンを土産に、
夏樹たちの家の傍まで来ていた。)

「わたしは、洗濯物を干していた。」

『誠司さんが、来たと思った。』

(木戸の向こうから、聞こえた足音に。 千歳は振り返った。)

(ぽんたもまた、木戸の向こうへ。 小さな足を運び、
夏樹が後を追った。)

「!」

パキッ パリリッ・・

(不思議な現象が、起こる。 国からの追手を、遮って来た、
家々を取り囲む、見えない壁が。 光を受ける様に、振動した。)



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