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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-152


『僕が、生まれなければ、明るい光の下で、生きていけた。』

(伸ばした千歳の手が、空をかすめた。)

『僕が、居なければ、母は、辛い思いをしなかった。』

(千歳は、誠司に抱えられ、涙した。)

「夏樹〜〜!!!」

***

「この子たちがいつか大きくなって、好きな人ができて、恋をして・・。」

「結婚して。 可愛い孫を抱くのよ。」

「大きな家族になるの。」

(千歳の夢が、夏樹の心の中に残った。)

「・・・。」

(コテージの中で、目を閉じる、夏樹の眼がしらが。 小さく動く。)

「夏樹様・・。」

(白手袋の手で、夏樹を支え。 菖蒲は、黒縁眼鏡の奥で、
瞬いた。)

(閉じた夏樹の目から、涙が。 零れた。)

***

『追手は、僕たちの元へ、届いた。』

『粒樹が異空間を渡ったことが、原因だったと思われる。』



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