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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-153


『幼いころ見た、流れ星は。』

『粒樹が異空間を渡った姿だった。』

『魔女に追われ、異界の地へ落ちた粒樹は、運悪く。 僕と同じように。』

『国に捕らわれてしまった。』

『僕たちは、別々の場所で。 国に捕らわれていた。』

(夏樹は、記憶を辿った。)

(誠司もまた、記憶を廻った。)

「聖さんが生み出した、異空間の結界に。」

「異界から、粒樹さんが落ちたことが。 あの時、結界の力が破れた原因だと

思われた。」

「FOTは守ってくれていた。 だが、手を差し伸べることを戸惑っていた。」

(夏樹は、想いを馳せた。)

『僕はまだ、能力者として目覚めていなかった。』

『手を差し出せば、FOTに触れれば、僕は。 二度と普通の生活に戻れなくなる。』

(誠司もまた、夏樹を救い出そうと葛藤していた。)

(だが、簡単にはいかない。)

「また、国は。 それまでに捕えた子供たちを人質にしていた。

下手に手出しは出来ない。」



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