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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-154


『粒樹は、国に捕らわれ。 そこから、聖が、救い出した。』

(夏樹は、不思議な運命を思った。)

『粒樹は、僕を・・。 “闇の樹”を継ぐ者を探していた。』

『それが僕を、FOTに結び付けた。』

「だけど、国に監禁されていた、あの時の僕は・・。」

「酷い状態だった。」

「戦うどころか。 自分さえ見いだせない。」

「暗い、閉鎖室の中で。」

「繰り返される苦しみが。」

「時間と、身体と思考を奪い。」

「幼い脳裏に刻み付けられた。」

『まるで、トラウマのように。 本部で、黒服の執事たちに監視されるのを

苦しんだのは。 そのためだったかもしれない。』

(FOT本部に配置されていた、国からの使いは、かつての黒服の執事たちと同じく。
国の研究施設が、送り込んだ者だ。)

(黒いサングラスの下の、男たちの恐ろしい視線。 取り囲まれる威圧感と、
息の出来ない閉塞感。 暗い闇の中。 いつ終わるとも知れない、
苦しみが、夏樹を襲った。)

「僕は、心を失い、力を使えなくなっていた。」



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