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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-157
(千歳の視線の先に、遠く。
水平線が見える。 小高い丘の上に、千歳は、呆然と立ち尽くしていた。)
(苦しみの最中にあっても。
昇りゆく朝日は、平等に人々を照らす。)
(疲れた身体と心を抱え。 未来を見いだせずにいても。)
(湧き上がる太陽の熱と、風が運ぶ自然の香りが、
千歳を励まし。 その景色を美しいと思った。)
「おはよう、夏樹。 お母さんは、諦めない。」
(千歳はまだ、自分の心が死んでいないと思った。)
(足に力を入れ、顔を上げた。)
***
「・・どうして。」
「僕を、生かしてくれたんだろうか・・?」
「どうして、僕だったんだろうか・・?」
「他に、生きるべき人はいた。」
「・・粒樹も。 母さんも・・。」
(夏樹は、目を閉じ。 記憶の断片を受け止めた。)
「僕は、誰かのために。」
「生きられているだろうか・・。」
(夏樹は、静かに。 明るみ始めた空を、見つめた。)
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