HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-160


「FOTの警告は、無視された。」

***

コォォォォーッ

(気づいてから、それが届くまでは。)

(そう、間は無かった。)

「ん・・。」

(丘の上で、朝日の輝きに、生きる気力を取り戻した千歳は。
青空の向こうに、光る、黒い点を見た。)

パリッ・・

(それは、かつて。 粒樹が異界の扉をくぐり、
結界に被害をもたらしたのと同じ様に。 わずかの間、開発施設の姿を、
人々の前に、あらわにした。)

『あれは・・!?』

(海の近く、白い砂浜の上に。 不気味な、灰色の建物が姿を現した。)

(今まで見えていなかった、無機質にそびえる、高い塀に囲まれる建物が、
牢獄の様だと。 その中に、子供たちが、夏樹が捕らわれていると。)

(千歳は、直感的に感じた。)

ピルルルッ ピルルルッ

[「千歳さん。」]

[「今どこにいますか?」]



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ