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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-165


(聖と触れ合った熱が、まだ身体を包んでいる。)

(胸に灯った、温もりを。 忘れぬ様、粒樹はぎゅっと両手を胸に当て。)

(聖に、振り返った。)

【・・ありがとう・・。】

(聖は、花弁の舞う白いシーツの上で、目を覚まし。
身体を起こした。)

(囁く粒樹の声に、ただならぬ気配を感じる。)

「粒樹・・。」

「どこへ・・? 粒樹・・!!」

(振り向いた粒樹は、最後に笑顔を残し。)

(突然、目の前に開かれた、白い光の扉の中へ。
吹き抜ける風に、光る涙の粒を残し、
吸い込まれ。 一瞬で消えた。)

シュオッ・・!

「粒樹・・!!」

(立ち上がった聖の肩に、流れる銀髪。 花弁が舞い、
白いストールが、地面に落ちた。)

ゴォォッ・・

(次の瞬間には、聖は。 空間通路を創り出し、
粒樹を追いかけた。)



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