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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-168


(千歳は、涙ぐみ。)

(柔らかな、夏樹の小さな頬に両手で触れた。)

(千歳は、夏樹の瞳に中に。 強い光が宿るのを見た。
それは、かつて瑠衣が、自分たち家族を守ってくれた時に、見せた光だ。)

(千歳は、戸惑う夏樹の中に。 力が目覚めるのを感じた。)

「好きに、生きて良いのよ。」

「夏樹。」

「胸を張って、生きなさい。」

(千歳は、涙に濡れる瞳で。 微笑んだ。)

『それが・・。』

『母の遺言だった。』

(甦る記憶に、目を閉じ、眠る夏樹の頬に、涙がこぼれた。)

(菖蒲は、夏樹の記憶に触れ。 その先に、それ以上開いてはいけない。
封印された、記憶の扉があることを感じた。)

***

「夏樹様・・。 これ以上、記憶に触れてはいけない。」

(菖蒲は、夏樹を記憶の底から呼び起こそうと、声をかけた。)

「夏樹様。」

***



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