HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-173


(“闇”に取り囲まれる中。 一瞬の空白に、
幼い夏樹の前に、粒樹が訪れた。)

【幸せになる種。】

(流星のように、夏樹の元に、辿り着いた粒樹は。
白い素足で、“闇”を渡り。 夏樹の前に、立った。)

***

(夏樹は、記憶を辿った。)

「僕の力は、最も望まざる時に、

解放された。」

「“呪い”が、僕の力を呼び起こし、母の命を奪った。」

「そして、僕の命さえも。」

『全ての記憶を、見ることは出来なかった。』

『だけどあの時、僕は。』

『僕と引き換えに、大切な人を失った。』

(夏樹の心は、涙した。)

(粒樹は、記憶の中で微笑み。 胸の中から“鍵”を取り出し、夏樹に差し出した。)

【あなたが、生きられるように。】

【ずっとずっと・・。】

【幸せで、あるように。】



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ