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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-177


『僕の手に残ったのは、小さな“欠片”一つ。』

(過去の聖は、震える手で。 小さな一粒を握り締めた。
凄まじい嵐が去ったあと。 海辺は、目が覚める程、青く。 輝く青空の下。
全てを押し流した波は去り。 白い砂浜に、小さな少年が残されていた。)

(閉ざされた、夏樹の記憶から切り取られ。 その場所は、
聖の背後に広がる。 破壊しつくされた街の様子は。 夏樹の目には、入らなかった。)

(巨大な“闇”は、国の陰謀渦巻く、開発施設を。
小さな命たちと共に消し去り。 海辺の街を、一つ。 この世から消し去った。)

サクッ サクッ

(強い風に吹きさらされた二人は、海の砂と、波しぶきの滴を浴び。
輝く太陽の下に。 取り残されていた。)

(聖は、震える指先を。 夏樹に差し出した。)

「これが、彼女が守りたかった者。 彼女を殺した者。」

『憎むべき相手は。』

『とても彼女に似ていた。』

(幼い夏樹は、海岸に立っていた。 大きな、深い紺色の瞳は、絶望に見開き。
目の前に現れた、金色の瞳を。 見上げた。)

(粒樹と同じ、深い紺色の瞳に見つめられた時。
聖の心は決まった。)

(聖は眩く笑った。 輝く金色の瞳に、紺色の瞳が映る。)

『幼い夏樹の白い頬に。 小さな、黒い。 “闇”の痕が、付く。』



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