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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-178


【・・未来で出会うから。】

【未来で、あなたは、彼に出会うから。】

『悲しみに見開く、幼い瞳は。 初めて出会った時の、粒樹と重なった。』

(聖は、長い指先で。 夏樹の白い頬に付く、黒い染みを拭った。)

『僕は、彼を。 守ると決めた。』

(聖は、夏樹の前に立ちふさがる、恐ろしい過去と。 現実を。
覆い隠すように、街の景色を背に。
外の世界から、夏樹を守ることを決意した。)

(残虐な、二度と取り戻すことの出来ない現実を前に。
盾となり、守るように。 夏樹の前に、立った。)

(聖の力が、結界を生み出し。
静かに、夏樹の荒々しい力を、鎮めた。)

『粒樹・・。』

(過去の記憶の中で、聖は。 今、夏樹の中に粒樹が存在していることを感じていた。)

『今、君は。』

『彼の中で、生きているのか・・?』

トクンッ・・ トクンッ・・

『あの時、この世界に初めて起こった“闇”は。 粒樹の中に集約した。』

『そして、彼女は。 “欠片”となり砕け。 夏樹を、“闇”から守ったのか・・。』

(過去の聖は、そっと。 幼い夏樹に話しかけた。)



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