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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-179


「力は、人を幸せにしない。 時には、触れた相手の人生を変え・・。

命を奪うことがある・・。」

「だから、君は、今一人きりなんだ。」

(それは、自分に向けた言葉でもあった。)

(自分が粒樹を愛したことで。 粒樹に死を選ばせたのではないかと思えた。)

「だから、誰も、君に触れないだけだ・・。」

「だから・・。

僕が、その手に触れよう・・。」

(小さな夏樹の手を、聖は握った。)

(その手は、氷の様に冷たかった。)

『“闇”に出会ったことで、夏樹の身体は死に。』

『氷の様に、冷たかった。』

(聖は、夏樹の身体を、抱きしめた。)

(いくら温めても、その身体に体温が戻ることは無い。)

『そして、僕は。』

『愛する人を失った・・。』

(残虐な景色を見せぬ様、涙に濡れる瞳を。
その手でふさいだ。)

『僕の心もまた、元には戻らない。』



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