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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-180


(聖は、夏樹を抱き寄せ。 橘を呼び寄せた。)

「橘。」

(老紳士は、すぐさま、傍らに現れた。)

「はい、聖様。」

(聖は、黄金色の瞳を揺らし、命じた。)

「封印を。」

(海の波が、金色の瞳に美しく反射した。)

「粒樹が残した。」

「この指輪に。」

(聖は、腕の中に目を閉じる夏樹を抱き。)

(白い砂浜の上に。 ぽつりと落ちた、“欠片”の傍に、
粒樹がしていた、銀の指輪が。 落ちていたのを見た。)

(聖は、砂の間から。 指輪を、拾い上げた。)

(それは、異世界。 エアリエル国に伝わる。 王家の指輪だった。)

(指輪には、二つの樹が絡み合う、美しい紋章が刻まれていた。)

「けして、君を一人にはしない。」

「僕だけじゃない。 いつか出会う、友が君の手を取るだろう。」

「だから・・。 僕と、おいで。」



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