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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-182


(それは、千歳が、自分を励ますために、口ずさんだ言葉だ。)

『いつか、あなたの力で。

誰かを守れるように。

大切な人を、愛せるように。』

(千歳の夏樹への想いが、辺りを包む。)

キラキラキラッ

(顔を上げた聖の瞳に。 無数の煌めきが映った。)

「まるで、“時の欠片”だ。」

(聖は、美しい光景につかの間。 目を奪われた。)

『彼女は、この手から離れ。 目的の場所へ行ったのだ。 あの海へ。

二度と、手の届かない場所へ。』

『自らの命と引き換えに。 夏樹の命を守り。 そしてこの世界に注がれるべき、

“闇”の力を。 自らに封じ込め。 “時の欠片”となり、砕けた。』

『世界に、人々の中に散ったのは。 彼女の持つ、命の力。』

『・・“時の欠片”は・・。 僕の、愛した人だ。』

(“欠片”は風に導かれ。 黄金色の瞳に、輝きを残し。
青空の彼方へ。 世界に降り注いだ。)

(美しい輝きを、見送る聖の瞳に。 涙が零れた。)

ギィィィーンッ



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