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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-185


『僕のためだったんだ。』

『父の死も。』

『母を守るためだったんだ。』

『そして、母も。』

(記憶の海から、現実に帰る。 夏樹の目に、
願う心が、幻を見せた。)

『もし、もう一つの世界があるなら、僕は何を望んだだろう。』

***

ザザーンッ

(海辺で遊ぶ一家。 夏樹の汗をふく、瑠衣の姿が、そこにあった。)

「夏樹。 いっぱい遊んだね。」

「そろそろあがろうか?」

(少しくせづく、深い紺色の髪。 潮風が打つ、白い肌は
二人がよく似て。 大きな白い手が、夏樹の頬につく白い砂を拭いた。)

「うん!」

(太陽に照らされる、深い紺色の瞳は。 嬉しさに輝いた。)

「ママー、おなかへった!」

(千波は、浮き輪とおもちゃを片手に。 千歳にすがった。)

「ふふっ。 夏樹は?」



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