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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-186


(そこには、千歳と千波もいた。)

「おにぎりっ!」

(夏樹は元気よく、手をあげた。)

「何おにぎりにする?」

「ちゃんと、おててとあし洗って。」

(夏樹と瑠衣は、返事した。)

「「は〜い。」」

(千歳は瞬き、微笑んだ。)

「くすすっ。 あら、あなたも。」

(瑠衣は笑い、千波を腕に抱き。 夏樹を呼び寄せた。)

「あははっ! おいで。」

「夏樹。」

(差し出した瑠衣の手を。 夏樹が取ろうと、手を差し伸べた時。)

サラサラサラ・・

(夏樹の指先は、触れられず。 瑠衣の幻は、
砂の様に。 風に揺れ、消えた。)

(隣で、笑顔で振り向いた。 千歳も、腕の中の千波も。
夏樹の前から、消え去った。)

「おとうさん。 おかあさん。」



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