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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-189
(悪夢のような記憶に。 汗と涙に濡れ。 夏樹の胸元に、
細い鎖にかかり、銀の指輪が、光った。)
「ああ・・っ。」
(夢の先で、紫苑の手を取ろうと。 幼い夏樹が、手を伸ばすように。
現実の夏樹は。 横たわったまま、虚空に向かい手を伸ばしていた。)
「う・・っ。」
(目を開けた夏樹は、ぼやける視界に。 手をかざし、見た。
その手は、力無く、布団の上に、落ちる。)
「ううっ・・。」
(夏樹は、涙が堪えられず。 身体を起こせぬまま、白い両手で
顔を覆った。)
『叶うはずも無い。 紛れもなく、僕は、僕のままだった。』
「う・・、うっ・・。」
『この身体は、すでに死んでいる。
氷の様に冷たく。 粒樹の力が無ければ、
生きることさえ、叶わない。』
『望むことさえ、許されなかった。』
『だけど・・。』
(菖蒲は驚き。 顔を覆う夏樹の上から、その肩を揺すった。)
「・・夏樹様!」
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