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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-191


「ははっ・・。 どうして、こんな時に・・。」

『想いは、あふれてくるんだろう。』

「どうして・・。」

(その想いは、もう、夏樹に止めることは出来なかった。)

「どうしよう・・、菖蒲。」

(胸の中で、静かに肩を震わせる。 主人の声を、
聞き漏らすまいと、
菖蒲は静かに。 返事した。)

「はい。」

(夏樹は、絞り出すように、そっと。
囁いた。)

「菖蒲。」

「僕も・・、誰かを好きになっても。

良いのか?」

(静かな問いかけに、菖蒲は、息を飲んだ。)

「・・・。」

「はい。」

「私は、

良いと思います。」

(菖蒲は、白手袋の手で、強く夏樹を抱き寄せた。)



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