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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-2


(皆が用意した、サプライズパーティーは、
素晴らしいものだった。)

「素敵な、サプライズパーティーだったのに・・。」

「ばか・・。」

***

「・・どうして、素直に。

嬉しいと、言えなかったんだ。」

(傍に居ると、涙が止まらないからと。 少しだけ一人にしてほしいという
紫苑を残し。 夏樹は、少し離れたベンチに、腰を下ろした。)

『近づけば、近づくほど。』

『僕は、コントロールが効かなくなる。』

(白い両手が、顔を覆った。 紺色の瞳が歪み、蒼白な頬は、
凍り付くような冷たさだった。)

「頭の中が、混乱する。」

「誰かの記憶が、流れ込むみたいに。」

(夏樹は、締め付ける胸の痛みに、歯を食いしばった。)

「あるいは、僕の、記憶だろうか・・。」

(夏樹も、先程の出来事を思い返していた。)

『こんなに嬉しい日は、二度とない。』



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