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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-206


(頬ずりする母の温もりに、夏樹は笑った。)

「お父さんは、見ててくれるのよ。

あの空の向こうにいるの。 いつでも、見ててくれる。」

(幼い夏樹は、瞬いた。)

「そらのむこう?」

(母は頷いた。)

「そう。」

(大きな紺色の瞳は、不思議そうに見た。)

「夏樹、失敗しても良い。

上手く行かなくても、ダメでも良いの。」

「夏樹が一生懸命なこと。

お母さんは見てる。」

「お父さんもよ。」

(温かな母の手が、夏樹を撫でた。)

『幸せになるのよ、夏樹。

誰もが、幸せになれるのよ。

ちゃんと、見ていてくれる人がいるの。』

(母は、空の彼方へ、願った。)



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