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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-22


***

ピチャンッ・・

「は・・っ。」

(紫苑は、何かの気配に顔を上げた。)

(足元に湧く、温かな湯。 明るいベージュ色の髪先が、わずかにカールし。
上気する頬に、長い睫毛が瞬く。)

「花びら・・?」

(紫苑は、揺らめく湯船に。
小さな一片が、舞うのを見た。)

「誰かに、呼ばれた気がする・・。」

(胸が高鳴る。 水面を見つめた紫苑の頬に、
一筋、美しく髪が揺れた。)

***

『雪景色の中に、ひとひら、花弁が舞った。』

(心の中を見つめる、深い紺色の瞳が瞬く。)

『聖の記憶が、目の前を通り過ぎた。』

***

ギギギギーッ ガシャーンッ

(巨大な金属が、裂ける音がした。)



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