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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-24


シュン・・ッ

(切り離された空間通路が、静かに二人を運ぶ。)

「くっくっくっ。 僕もまた、こんなことをするとは、

思わなかった。」

「彼女が。 連れて行ってくれと、言ったものだから。」

(聖の腕の中で、粒樹は目を閉じていた。 銀の指輪の光る大きな手で。
聖は、粒樹の小さな手をそっと持ち上げた。 粒樹も指輪をしていた。)

「綺麗な銀の指輪をしているね。」

(晃は、切れ長の目を細め、横目で見た。)

「・・まだ子供じゃないか。」

(聖は笑った。)

「名を粒樹。」

(晃は驚いた。)

「・・! それが、その子供が。」

「国が見つけたという、奇跡の力を持つ子供か。」

(苦悶し、晃は片手で顔を覆った。)

「それをさらってくるとは。 始まり早々、俺たちは指名手配犯か。」

「お前と組んだ俺も、運の尽きだ。」

(晃は、呆れたとばかりに、天井を見た。)



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