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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-33


(白手袋の手の指先に触れる。 初めて経験する感覚に。
黒縁眼鏡の奥の、黒い瞳は滲み。)

(主人の姿を探した。)

『・・夏樹様・・。』

***

リーン・・

(頭痛に襲われ、夏樹は両手で、頭を抱えた。)

(胸元で、銀の指輪が、熱を帯びる。)

「ん・・。」

(夏樹は再び、目の前を行き過ぎる、記憶の断片の中で、
深い紺色の瞳を開いた。)

「菖蒲・・。」

「誰かの記憶が、流れてくる。」

(紺色の瞳は、驚き。 見開いた。)

「誰の記憶だ・・?」

***

ザァァァァーッ・・

『目の前に広がっているのは。』

『息をのむほど、鮮やかに咲き誇る。 ピンク色の花々だった。』



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