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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-40


***

「ルイ・・。」

(夏樹は、記憶の底で、息を飲んだ。)

『ルイが居た・・。』

***

チュンチュン・・ チチチッ

(羽ばたきが聞こえる。 木々の間を縫い、飛び立つ鳥の下。)

(木々をかき分け、走ってゆく。 深い紺色の髪が、揺れた。)

ザザザッ・・

「リザ・・、リザ・・!」

「聞いてくれっ。」

「彼女と、目が合った。」

「僕を、見ていたっ!」

(深い紺色の瞳は、生き生きと輝き。
紅潮した頬に、抑えきれない興奮を。 唇を噛みしめ、
叫びだしたい喜びを、堪えているようだった。)

「・・ルイ!」

(リザは、黒いドレスの裾をつまみ、案じる表情で、
急ぎ、ルイの元へ駆け寄った。)



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