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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-42


『会ってみたかった。』

(様々に込み上げる感情の中で。 最も強く、湧き上がる思いに。
夏樹は、涙を堪えた。)

『彼に違いない・・。』

『彼が僕の、本当の父だ。』

(夏樹の心は、震えた。)

***

カタンコトンッ カタンコトンッ

(まだ青空が見える、放課後の帰り道。
セーラー服に身を包む。 少女が、線路沿いの芝生の土手を歩いていた。)

「ん・・。」

「誰・・?」

(振り向いた、明るい大きな茶色の瞳。)

(明るい茶色の髪は、両脇の頬にかかるところを残し。
可愛らしい一つのお団子頭に結っていた。)

「・・・。」

(風が吹き抜ける一瞬。)

(少女の大きな瞳に。 青空の向こうに。

深い紺色の瞳が、重なった。)

「千歳!」



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