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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-46
「なかなか、お戻りにならないので、お迎えに上がりました。」
(菖蒲が見つけた夏樹は。 ベンチに腰を下ろし。
うつむいたまま。 声をかけても、微動だにしなかった。)
「夏樹様。」
(覗き込んで見た、夏樹の顔は、蒼白で。
白い手が、深い紺色の髪を掴み。 閉じた目を、開こうとしない。)
「・・しっかりしてください。」
「お嬢様は、傷つかれたのですよ?」
「あなたが、素直にならないから。」
(夏樹は、はっとし目を開けた。)
「・・どうすればいい。」
「・・僕は、そんなに良い人間じゃない。」
「ここに、“鍵”が眠っている。」
(語気を強めた菖蒲に、挑むように。 自身の胸元に触れ、
深い紺色の瞳が、強く見返した。)
『夏樹様・・。』
『人々が、“鍵”を求めている。』
『あなたを奪おうとしている。』
『渡しては、いけない。』
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