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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-48


「普通の人と、同じように生きたいなどと。」

(深い紺色の瞳が揺れた。)

「友達と出会い。

たった一人の人と。

いつか出会えたらと。」

(白い両手が、顔を覆い。 夏樹は、目を閉じた。)

(素直な夏樹の想いに、菖蒲は息を飲み。 肩を震わせる主人を
強く見つめた。)

『守らなければ。』

『守りたいと、思ってもらわなければ。』

(菖蒲は、強く心に念じた。)

「夏樹様・・。」

(あらわになる心は、同時に。 夏樹をその場から遠ざけようとした。)

『誰が、僕を愛す?』

(何が起こるのか。 踏み出してしまえば、すべてを壊すような気がした。)

「僕は、“鍵”を持っている・・。

“闇化”したらどうする・・。」

(菖蒲は、決意した。)

「そんなことは、させません。」



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