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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-49


『私は、あなたを一人で戦わせたりしない。』

「私が止めます。」

「前向きに考えてください。

夏樹様。

街へ来られたこと、嬉しかったじゃありませんか。」

「ソラ様のように。」

「楽しいことが、待っていると信じましょう。」

(菖蒲は、熱を込めて、語った。)

「能力者が人を愛しては、

いけませんか? 私なら、自分に嘘はつかない。 彼女を不幸にしたいのですか?」

「誰も、あなた自身も。 犠牲にしてはいけませんよ。」

「そんな人に、誰かを幸せにすることなど出来ません。」

「私に将来を考えろとおっしゃるのならば。」

「夏樹様。 幸せになってください。」

「でなければ私は、永遠にあなたの執事を、

辞められない。」

(夏樹は、菖蒲の意外な言葉に。 紺色の瞳を見開いた。)

「菖蒲。」



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