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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-53


(菖蒲は、頷いた。)

「はい。」

***

(紫苑は、湯船を見つめ、瞬いた。)

サワサワサワッ

(風が、髪を揺らす。)

『今なら、まだ引き返せる。』

(誰かの声が、響いた。)

「・・誰?」

(紫苑はそっと、心の中に響く声に。 声をかけた。)

『フェルゼンは、あなたに魔法をかけたの。』

『願いを叶えない限り、解けない魔法・・。』

(声は、フェルゼンに悟られぬよう。 警告を告げているようだった。)

「・・魔法。」

『あなたが、紺色の瞳の“彼”から“鍵”を奪わない限り、

解けない魔法・・。』

「・・!」

(紫苑は、時折胸に響く、恐ろしい男の声を思い出した。)



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