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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-55
「わたしは、彼を。」
「夏樹くんを、愛すと決めたの。」
(紫苑は、小さく囁いた。)
「・・魔法に負けない。」
「彼と、共に戦うと。 決めたから。」
(声の主は、紫苑を案じるように、目を閉じ。 消えた。)
(フェルゼンの呪いから、紫苑を守ろうとしているのは、
崩壊したリザの中に眠る。 心だった。)
「・・ふぅ。」
【望み通り、俺が・・。】
【お前を、奪ってやろう。】
(紫苑は、遠く。 響く男の声から、意識を逸らさず。
自分の心と向き合った。)
「大丈夫。」
(心がほぐれるようだった。)
(温かなお湯の感触に、小鳥の鳴き声。)
(心地良く、海から吹く風が。 次第に、太陽の熱を持ち。
暑い日差しを運ぶ。 青空に、白い雲。)
(風は、風見市を包み。 紫苑を包み込んでいた。)
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