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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-63


(紫苑は、夏樹が、何か。 大切なことを、言おうとしていると感じ。
居住まいを正して、夏樹に向き合い。)

(頷いた。)

「・・うん。」

(紫苑は、真剣な瞳で。 夏樹を見た。)

『僕は、雪の中に閉ざされたまま。』

(深い紺色の瞳が、微笑んだ。)

『春を・・。』

『待っている。』

***

「・・夏樹。」

(千波は、肩を並べる二人を、熱い想いで見守った。)

***

(紺色の瞳は、穏やかで。 優し気だった。)

(木々の香り、お湯の音。 夏樹から流れる、冷やりとする温度。)

(紫苑は、全てを愛しく感じ。 すべてを留めたくて。
忘れぬよう。 全身で、夏樹の言葉を聞いた。)

「紫苑さんのご家族に、本当に感謝している。

水族館で、紫苑さんが話してくれたね。」



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