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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-64


「僕にも、夢があるんだ。」

「笑われるから、菖蒲以外、誰にも言ったことない。」

(純粋に、自分を見つめる紫苑を前に。
告げたい思いに、夏樹は心に熱いものが込み上げた。)

***

「夏樹様。」

(菖蒲は、心の中で。 声援を送った。)

***

「紫苑さんが言っていたみたいに。

ただ、家族で。

過ごしてみたいんだ。」

(思いがこぼれ、上手く言えない。)

(深い紺色の瞳が。 紫苑を見つめ、涙に滲んだ。)

「それが、僕の夢なんだ。」

(零れ落ちないよう、微笑み。
夏樹は、告げた。)

「あの時、水族館で。 紫苑さんの言葉を聞いたとき、

僕も、同じ願いだった。」

(紫苑は、滲む紺色の瞳を見つめ。 夏樹の想いを感じた。
いつの間にか。 紫苑は涙を堪えられず。)



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