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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-68


「こらっ! 笑ってんじゃないのっ!」

(女の子たちは、慌てて夏樹を介抱した。)

「ん・・ん・・。」

(遠ざかる意識の中で。 皆の楽し気な声が、夏樹を包んでいた。)

(夏樹は、まどろみ。 紫苑の腕の、温かさを感じた。)

「コテージの中で。 休ませましょう。」

「紫苑、菖蒲くん。 ついていてあげて。」

(佐織の声に、菖蒲が頷いた。)

「はい。」

リーン・・

(夏樹は、目を開けることが出来ず。
身を任せた。)

(菖蒲の白手袋の手が、夏樹の胸に触れる。)

・・リーン・・

『そうだ、夢の中で。

花弁の向こうに、君がいた。』

***

『雪が、溶ける日がくるのだろうか。

彼女と、この景色を見る日が・・。』



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