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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-70


チリンチリン・・

(鐘の音に、千歳は、浮き足立って。 入口に向かった。)

「いらっしゃいませ〜♪」

「あ・・っ。」

「な〜んだ。」

(千歳の声に、来客は、頬を膨らませた。)

「なによ。 あたしじゃ、不満だっての?」

(お気に入りのメイクを施し、鮮やかな唇を尖らせて。 笑った。
ざっと店内を見渡すと。 目を輝かせ、席に着いた。)

「良いお店じゃない。」

「千歳。」

(千歳は少し照れて、笑った。)

「ありがとう。 依子。」

「初めてのお客様よ。」

(依子はため息をつき、椅子にもたれた。)

「ふぅ・・。 そんなことだろうと思った。」

「だ〜いじょうぶ? やってけんの?」

「お屋敷を頼りなさいよ。」

「血が繋がってなくたって。 親子でしょうが。」



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