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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-74


「うん。」

(千歳は、これまでの暮らしに別れを。 決意を込めるように、頷いた。)

カラン・・

(グラスの中で、氷が音を立てる。)

***

(夏の日差しが照り付ける、暑い日だった。)

『待ち望んでいた出会いは・・。』

『そう、遠くなかった。』

チリンチリン・・

「あっ、ごめんなさい。」

「まだ、開店前で。」

「すぐ準備します・・か・・ら・・。」

(千歳は、振り返ったとたん、大きく瞳を見開いた。)

『花の香り?』

チリン・・

(ドアの天井に届きそうなほど、背の高いシルエット。
ちょうど朝の日差しが眩く射し込み。 現れた人物を映す。 千歳は目を細め。
入口に立つ、その人から香る、ほのかな甘い香りに。)

(白く光る日差しから覗く、深い紺色の髪に、
胸が高鳴るのを感じた。)



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