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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-78


「あんたっ、いい加減にしな。」

「あんたは、あたしの大事な。」

「親友なんだよ。」

「変な男と一緒になってもらっちゃ困るんだ!」

(依子の心配をよそに、千歳は幸せそうに、
エプロン姿でキッチンに立っていた。)

「ふふっ。 行くところが無いっていうから。」

「住み込みで働いてもらっているの。」

(依子は首を振り、言葉も無いという風に、目を閉じ。
片手で顔を覆った。)

「・・あきれた。 そんな余裕無いでしょうが。」

(目を閉じた依子のところまで。 コーヒーの香りが、漂ってくる。)

コトンッ

【どうぞ。】

(依子は、香りと気配にはっとして。 目を開けた。)

「・・!」

(見上げるほど、背の高い男性が、依子に微笑んだ。)

【カプチーノです。】

(依子に男性の声は届かなかったが。)



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