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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-80


『彼は、言葉を話すことが、出来なかった。』

(依子の真剣な顔に、千歳は首を振った。)

「いいえ。」

「彼の言葉が、わたしにはわかるもの。」

(不安が無いわけじゃない。 でも、千歳には他の道は見えなかった。)

「声も出せず。 裸足でやって来た、

素性もわからない、そしてあんたに恋してる。」

(依子は思いを馳せた。)

「まるで、人魚姫みたいね。」

「恋をしてはいけない人に、恋をすると、

泡になって。

最後は消えるの。」

(依子の言葉を聞いても。 千歳は、変わらず、微笑んだ。)

『あたしは・・。』

『あの時、止めるべきだった・・。』

***

(木漏れ日が心地良い、近所の公園で。
瑠衣は足を止めた。)



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