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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-81
(目の前を横切った猫の姿が可愛くて。 思わず追いかけると、
買い出しした野菜のビニール袋を、足元に置き。
芝生の上に、あぐらをかいた。)
カチャッ カタッ
(瑠衣は手早く、もう片方の手に抱えていたスケッチブックを破ると。
えんぴつを取り出し。
ちらりと舌なめずりをし、目を輝かせ。 猫を見つめた。)
カリッ カリッ・・
(千歳以外と、生活に必要なコミュニケーションを取るために。
瑠衣は千歳から、スケッチブックをプレゼントされた。)
(新しいこの世界では、目に触れるもの。
何もかもが、新鮮で。 瑠衣は絵を描いていた。)
(そして、異世界への扉をくぐり。
記憶を無くした、瑠衣の心に。)
(時折、鮮烈に甦る景色。)
カリッ カリッ・・
(忘れないように。
いや、その景色を千歳に見せたくて。 瑠衣は、描き出していた。)
『私が。』
『瑠衣にはじめて出会ったのも、その頃だった。』
(仕事休み、公園で。 お弁当を広げている女性が居た。)
「もしもし、誠司さん。」
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