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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-94


【聖なる樹の花の下で。】

【そのことを思い出して・・。】

【君に、贈りたくて。 この絵を描いた。】

(瑠衣の真剣な瞳に、千歳は、見入られ、頷いた。)

「うん。」

(瑠衣は、きらきらした深い紺色の瞳で、微笑み。
ポケットからリボンの掛かった小箱を取り出した。)

シュルッ

(箱の中には、リングケースがあった。)

「!」

(千歳は息を飲んだ。)

【これを、君に。】

「瑠衣・・っ!」

(ケースの中には、桜があしらわれた、小さな指輪が、
入っていた。)

(高価なものでなくとも。 千歳の目には、まるで聖なる樹からこぼれ落ちた花の様に。
きらきらと輝き、眩く。 小さな桜の一輪に。)

(目を開けていられない程。 煌めいて見え。)

【僕と、結婚してください。】



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