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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-126


「・・っ。」

『抑えられそうにない。』

(夏樹は、必死にこらえた。)

ドクンッ

(だが、何かが、動き出した。)

『僕は、粒樹のことを思い出した。』

「終わりたくない。」

『この世界に降り注いだ、“時の欠片”は、

そんな願いを叶えるものなのかもしれない。』

(夏樹の中で、粒樹が鼓動していた。)

ドクンッ

(あれ程、終わりを決意したのに。 夏樹は、今、生きたいと思っていた。)

(“闇”を終わらせるべき方法を、頭で理解したはずだった。
それなのに。 心が言うことを聞かない。)

(痛むように強く鼓動する心臓が。 “闇”をもう抑えられないと、
悲鳴を上げていた。)

(それなのに、紫苑を前に。 夏樹の心は、もう、嘘を付けずにいた。)

『誰かが、僕を生かしてくれた。

だから、僕はここに居る。』



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