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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-128


「夢は、叶うのよ。 夏樹。」

(母の言葉は、迷いなく。 強く心に残った。)

『このまま、僕の命は、消えてゆくのだろうか。』

***

(痛いほど鼓動する胸に、込み上げる思いを、夏樹は堪えた。)

『家族になれたらと、夢を見てしまった。』

(夏樹は、言葉に出来ずにいた。)

『夢を見ている。

最後の時が来るまで。

夢を見ている。』

『人は、僕を笑うだろう。』

(深い紺色の瞳は、滲んだ。 だが、紫苑を見つめ、微笑んでいた。)

「上手く。 言えない。」

(紫苑は、瞳を開き。 大きく頷いた。 夏樹は、何かを伝えようとしていた。)

(夏樹の様子に、紫苑の胸は詰まった。)

「大丈夫。」

「大丈夫。」

(紫苑は、幾度も頷き。 夏樹の手を握った。)



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