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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-129


***

「夏樹、ちゃんと自分を愛してあげなさい。」

「誰かを好きになるなら。

自分も好きにならなくちゃ。」

「夏樹は、お母さんのことが好き?」

(母の笑顔は優しかった。)

「・・うん。」

(幼い夏樹は、頷いた。)

「お母さんも、夏樹のことが好きよ。

だから、

夏樹も、夏樹のことを好きになって良いの。」

(幼い紺色の瞳は、うつむいた。)

「・・わからない。」

(幼心に、人とは違うと、気づいていた。 周りの目が、
心無い言葉が、夏樹の心を、強張らせた。)

『僕と、聖は、似ているんだ。

許されない罪を抱えて生きている。

・・好きになるのは、難しい。』



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