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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-131


(甦ったのは、聖の言葉だった。)

「僕たち能力者は、時に。

外に力を求めがちだ。

だけど、夏樹。

それは、どこにもない。」

(初めて、聖と出会った頃、幼い夏樹は。 力を上手く使えずにいた。)

(研究施設での出来事が。 母を亡くした出来事が。 記憶を封じていても、
夏樹の心と体を圧迫していた。)

「ここだ。

夏樹のここにある。」

(聖は、夏樹と向き合い。 幼い夏樹の、胸元を指さした。)

「ぼくの、ここ・・?」

(深い紺色の瞳は、不安げに、金色の瞳を見つめた。)

(守るべき者を、母親を、目の前で亡くしたことが、力を閉ざした。)

「そうだ。

だから、安心して。

好きにしていい。

湧き上がってくるんだ。」



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