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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-134


「1」

『風を、味方につけ。

大切な人を想うのだ。

そうすれば、強い力が出る。』

(ソラの合図を待っていたように。 ポッと、夜空に、炎が瞬いた。)

「はっ。」

(夏樹は、息を飲み。 小さな炎が。 夜空に上る、軌跡を追った。)

(花開く、一瞬を、夢見て。)

***

(頬杖をつく、長い指先に。 いくつもの銀の指輪が煌めく。)

(聖は、瞳を閉じ。 静かに、その時を待っていた。)

(その表情は、穏やかで。 一瞬。 この世の苦しみから、解き放たれるようだ。)

(花開くことを待ちわびながら、その時が、訪れなければと、願った。)

***

『あなたは、彼女のことを想い続けた。

だから強い。』

(息が止まる一瞬。 夏樹は、見上げる視線の先と、隣り合う皆の体温を感じた。)

『あなたは、僕に、居場所をくれた。』



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