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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-138


(麗は、音々を雨から避けようと、木陰に促そうとしたが。
音々は、舞台に現れた人々に、不思議に惹き付けられ、足を止めた。)

『なんだ、この感じ・・。』

『嫌な、気配。』

(舞台上の人々は、着物をまとい。 動物の仮面を付けていた。 観客が、
上空の花火に見入っている間に。 仄かな、提灯の灯りの中。 準備をしているように
見えた。)

(舞を舞うであろう人々。 祭ばやしを奏でる人々が、雨の中に、立ち始めた。)

(こんな天気に、演奏するのだろうか。 それよりも、音々は、何かを予感した。)

***

(議事堂の室内に、最後に残された空席に。 首相である石垣は着席した。
円形に頭上に灯る。 ランプの明かりに、人々の表情は見えない。)

『そうやって、少しずつ君に触れ。

僕は、秘密を解き。

僕になったんだろう。』

(議事堂と、対面するように。 異空間の向こうで、聖は、目を閉じていた。)

(鮮やかな花火。 音楽が、止まる時を待つ。)

(互いの存在は、見えなかったが。 張り詰める空気に。 時を待つのは、同じだった。)

『もう一度、生まれるような気がした。

僕の命と。 鍵と。』



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