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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-140


(夏樹が、何か言ったような気がして、紫苑は瞬き微笑んだ。)

「・・?」

(激しい打ち上げ音に、言葉を交わすことさえ、無理だ。)

(それで、良いように思えた。 夏樹は、微笑み。 味わったことのない感覚に。
間違いなく、生涯で。 忘れられないひと時を。 今に感じた。)

「くすっ。」

(大粒の雨に濡れる瞳は、頬は。 赤く染まり。 微笑んでいた。
互いの想いを、上手く言えずに。 持て余す心が、流れ出る。)

(微笑みながら、躍動する時に。 瞳を伝うのは、涙かもしれなかった。)

「紫苑さん。」

(最後を飾る、大輪の花火が。 夜空を染める前に。)

(一瞬の、静寂が訪れた。)

(雨粒が、舞い散る花火の火の粉を。 きらきらと反射し、紫苑の瞳を輝かせ。
頬を、髪を。 伝う滴を煌めかせる。)

「なあに?」

『僕と、世界を。

君とを、隔てるものは、何もない。

僕が、望んだ場所だった。

僕の、夢だ。

僕たちは、同じ場所に、立っていた。』



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