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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter102 『8月1日(継承)』 102-144
(鼻の奥を付くのは、雨の香りだけではない。
父の部隊の香りがした。)
「麗、皆を連れて、帰れ。」
(音々は、鋭く言い放った。)
(短い黒髪から、雨が滴る。 その瞳は、真剣だった。)
「音々ちゃん?」
(麗は、ただならぬ気配を感じ。 音々を見つめた。)
(舞台上の、動物の仮面をつけた人々は、着物が濡れるのも気にせず。
静かに、立ち並んでいた。)
(舞手の前に、立つ。 奏者たちが動いた。)
「はっ。」
(静かな笛の音が、雨に響く。 合わせ、太鼓のバチを握る、
筋肉豊かな男の腕が、空の上を指すように、突き上がる。)
ピカッ・・
ゴロゴロゴロ・・
ドーン!
(雷鳴が響いた。 同時に、激しいバチさばきで、祭りばやしが雨を切る様に
鳴り渡る。)
(雷の音なのか、和太鼓の音か。 辺りを揺らす波動に、
舞を舞う、人々の仮面に隠された顔。
垣間見える口元が、笑った気がして。 音々は、寒気を覚えた。)
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