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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-147


(“闇”を封じ込めた。)

「・・・っ!」

(夏樹は、ソラが。 現れた“闇”を、夏樹の横からかすめる様に、
鋭く包み込み、連れ去るのを見た。)

(流れる風が、深い紺色の髪を撫で。 人々が、異変に気付かぬ間に、
ソラは、“闇”と共に。 結界の中へ、姿を消した。)

「ソラ!」

(だが、それだけでは終わらなかった。
“闇化”は、遊園地のあちこちで、同時に発生した。 いや、海浜公園全体で
それは起こっていた。)

「紫苑ちゃん、こっちへ。」

(千波が、紫苑を強く抱き留め。 夏樹から離した。)

「千波さん・・っ。」

(紫苑は、ただならぬ気配に。 涙ぐみ、千波を見つめた。)

「でも、夏樹くんがっ!」

(千波は、頷き。 微笑んだ。)

「大丈夫よ。 ここは、結界の中だから。」

「ソラくんが創ってくれた、結界もある。」

「・・聖が、守ってくれるわ。」

(千波は、自分に言い聞かせた。 周囲を守る結界が。 雷鳴に、震えるのを感じる。)



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